利用者とのコミュニケーションの悩み

介護の現場では利用者との信頼関係を築くことによって、質の高いサービスをスムーズに提供することが可能になります。

利用者からすると、信頼できる介護職であればあるほど、自分の日常生活全般を安心して委ねることができるからです。とはいえ、実際には信頼関係を築くことは容易ではありません。例えば利用者に呼びかけても無視される、食事介助のたびに一方的に怒られる、排泄や入浴の介助で拒否される等、普段から利用者とのコミュニケーションが上手くいかず、信頼関係を築けないため悩みを抱える介護職も珍しくありません。

そこで、介護職はコミュニケーションに必要な態度や技法を身につけることで、利用者との信頼関係をスムーズに構築することが求められます。特にコミュニケーションを図る上で重要になるのが、自己開示です。介護職が利用者から速やかに受け入れてもらうためには、まず自分がどのような人物なのか情報を開示して、安心してもらう必要があります。

ただし、初対面で突然一方的に話すのでは、かえって相手に困惑や不信感を与えるでしょう。適切な自己開示を実現するには、情報の量や深さそしてタイミング、さらに利用者の人間性や取り巻く状況などを、よく見極めなければなりません。

介護の現場では焦らずに、介護職が自己の情報を徐々に開示して、利用者に安心感や信頼感を無理なく与えていくのがコツです。その結果、今度は利用者側から自己開示してもらえるように導くことが理想的です。日常生活の中で自己開示のキャッチボールを繰り返すことで、着実に信頼関係も構築できるでしょう。